健康で「生涯スポーツ」ができる体をつくるために
監修=石川正三(新スポ連 全国理事)

週2~3日は運動を
皆さんは、1週間のうちどれくらいスポーツをしていますか?
働いている人は「週末の休日しか、スポーツができる時間をとれない」「運動は週1回程度」というケースが多いのではないでしょうか?
また、年齢を重ねると、運動の量や時間が少なくなってしまう傾向にあります。運動不足などが重なった結果として、生活習慣病になりやすくなると言われています。
厚生労働省による「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、「筋力トレーニングを週2~3日、週60分以上行うこと」を推奨しています(ただし個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組むこと)。
今よりも少しでも多く身体を動かすことが大切です。健康で、生涯スポーツができる体をつくるために、自宅でできるエクササイズを一緒にやってきましょう。

どうしても三日坊主になりがちな方には、「三日坊主の活用」を勧めます。休みたくなったら1~2日休み、また3日運動するというように、三日坊主を続けるのはどうでしょうか。
まとまった時間がなかなか取れなくても大丈夫。短い時間でも継続して運動すれば効果があると言われています。エクササイズの回数、時間は自分のからだと相談して、ちょっときつくなったなというところでやめるぐらいがいいと思います。
ウォーミングアップ さぁこれから動くぞ!
①呼吸でウォーミングアップ
短い呼吸(胸式呼吸) は交感神経を働かせることにつながります。
やり方は、息を吐くことに集中し、一気に「フッ!」と吐ききります。「フゥーー」ではなく、「フッ!」と一瞬で吐ききること。「 フッ! フッ!フッ!」と5 回続け、一息ついて3回ほど「フッ!フッ!」と行ってください。
②その場で腕振り&足踏み
ゆっくり、大きくすると腕はまっすぐのび、脚の動きも膝が大きく上下するでしょう。最初は腕と足をゆっくり大きく動かします。

だんだん速く動かしていき、肘を曲げ、その腕の動きに合わせて足も動かしましょう。「ゆっくり」と「速く」でそれぞれ左右合計10回を、3セットほどやりましょう。
体が温まってきたのではないでしょうか。終わったらストレッチしながら腹式呼吸で整えましょう。大きく息を吸い込む時におなかを膨らませます。吸い込んだら、「吐ききる」までゆっくりと息を吐いておなかをへこませます。
③動的ストレッチ
運動前に、大きく関節を動かす動的ストレッチを行いましょう。運動の効果を高め、けがの予防にもなります。
[1]その場で腕振り
体を回転させながら肘を曲げ、少し早く振ります。

[2]その場で脚振り
壁などに手をつき、片側ずつ脚を前後に10回ほど振ります。同様に、 体の前側でも左右に振ります。

ハイハイで全方向に動く
アスリートも実践 ハイハイ 高ハイハイ
ハイハイ、高ハイハイは、手、脚を交互に使う全身運動です。左右違う動きのバランスをとり、いろんな動きを同時に行い、各関節に負荷がかかります。
体幹を強化し、全身を使う有酸素運動にもなります。 赤ちゃんは寝たところからハイハイ、高ハイハイへと、その後の立って歩く準備をしています。アスリートのトレーニングにも取り入れられているのは、こうした動作が眠っている体幹機能を引き出すことになるから、ともいわれています。
①ハイハイ

床で四つんばいになり、手足を交互に動かし、前進しましょう。同じ方向だけでなく後進、 横方向にも動いてみましょう。膝にタオルを巻いたり、座布団やマットの上で行うと、膝への負担が軽減されます。
②高ハイハイ

四つんばいから、膝と肘を床から離し、両手、両脚で体を支え、対角の腕、脚を交互に動かし、 前進、後進、横方向と、 自由に動いてみましょう。膝は曲がっていても大丈夫です。
ただ、頭が下がり頭に血が上るので、短時間で良いと思います。四肢をバランスよく動かし、安定した動きにしましょう。
③相撲の四股(しこ)の 姿勢で前進
四股の姿勢は脚を腰幅より少し広めに開いて立った姿勢から、両膝に両手を着け、腰を下げます。

この時に、膝が左右に開いた状態のまま可能なところまで曲げ、腰を下げましょう(前かがみにならないように注意)。
膝は曲がっても左右に開くことが難しく、両膝を開くと上体が前かがみになってしまうかもしれません。まずは、可能な姿勢でやってみましょう。
体幹を支える筋肉を動かす
体を支える大事な部分を動かす運動です。足全体、股関節、腰回りから、背中側、肩を動かす運動を行いましょう。
背中側には、肩甲骨や腰の後ろ側に大、小たくさんの筋肉が取り巻き、重要な役割を果たしています。
①ワニ歩き前進

うつぶせに寝て、両腕は曲げ、手が顔の前方に、両足も少し曲げ、膝が外側を向くように広げます。ワニのような姿勢で、腕と膝を交互に使い、床の上を前進します。だんだん腕や足の動きを大きくしていきましょう。体を少し浮かせるようにすると、負荷も増えます。
②うつぶせクロール

腕を回す時に体の片側を床から離し、腕の回転をしやすくします。左右交互に行うと、体をローリング(左右に揺れること)させるようになります。足はバタ足(水泳のバタ足と同じ動作)です。負荷が強すぎる方は体をローリングさせずに、足だけでなく腕も上下に動かすようにしてみましょう。
お腹を引き締めあおむけの運動
あおむけの運動で、お腹側の筋肉を動かします。お腹側には、内臓を包んだり、足を動かしたり、姿勢を安定させる重要な筋肉(インナーマッスル)が多くあります。
このお腹の筋肉を引き締めて運動することが大事です。重要な筋肉がある背中とお腹の両方をバランス良く鍛えることができます。
①あおむけの両腕、両足バタ足

あおむけに寝て(背中に隙間をつくらない)、 顔はへそを見るように上げます。この時に、背中が床から離れないように気を付けます。腕、脚は顔の高さほどに上げ、床から少し離しましょう。この状態で水泳のバタ足を行います。
両腕、両脚を伸ばして行うことがきつい場合には、まっすぐに伸ばすだけでも良いですし、肘、 膝を少し曲げても良いでしょう。
②あおむけで蹴りだし

肘をつき上体を起こし、両足のかかとを床から10㎝ほど離します。床からの距離を保ったまま交互に蹴りだし、戻します。自転車のペダルのように回転させないように、直線運動をしましょう。
③金魚運動

あおむけで脚を伸ばして閉じ、両腕は頭上で手のひらを合わせます。腰を中心に、腕と脚を左右に動かし、金魚の泳ぐ姿と同じように体をくねらせる動きです。または、腰を左右に動かし、腕、 脚も合わせるようにしても良いでしょう。
腰と腕、脚がクネクネと滑らかに動くようにしましょう。 背筋やわき腹の筋肉が鍛えられます。うつぶせでもやってみましょう。
リズミカルに体を弾ませる
少し広めのスペースがあれば足を使って体を弾ませる運動をしてみましょう。紹介するギャロップやサイドステップは、骨を刺激し骨密度を増加させることにつながります。また、ウォーキング時とは違う筋肉の機能を鍛えることもできます。
①ギャロップ
一歩ごとに4足が地上から離れる、馬の最も速い駆け方のこと。イメージしてリズムよく軽快に動きましょう。「ギャロップって何?」という方も図を参照してください。

踏み込んで前に出した右足のかかと近くに左足を置き、その瞬間に右足を前方に出し、左足をまたかかと近くに置くことを繰り返します。前にあった足は、常に前になります。
②サイドステップをしながら両腕を回す
サイドステップはギャロップでの横への動きです。サイドステップしながら、両腕を大きく顔の前で交差回転させましょう。腕を振る力を利用して体が動くようにしましょう。

アキレス腱のケガの予防に
こうした弾む運動は、筋肉だけでなくアキレス腱などの働きが大切です。筋肉や腱には、長さを調節する機能があります。ジャンプなどの急な伸長に反応し、筋肉は元に戻ろうと収縮し、反対に腱は、切れないように緩みます。日ごろから弾む動きをしていると、アキレス腱断裂の予防にも役立ちます。
いろんな「歩き」で態勢維持
足の裏を意識して、いろいろな「歩き」をすることで、バランス感覚を養います。足でしっかりと支えることができれば、体を自在に動かすことができます。
同じ歩く動作でも、進む方向を変えたり、足の運び方を変えたり、腕を大きく回したりすると、バランスが崩れやすくなります。そこで、体勢を維持しようとすることがトレーニングになります。
また、いろんな動きをすることで関節の動きをスムーズにし、膝痛などの防止にもつながります。少し気分を変えて、外に出て動いてみるのも効果的です。普段、ウォーキングをしている人は、そのなかに取り入れてもいいと思います。
①ジグザグ歩き
直進だけでなく、意識してジグザグに動いてみましょう。1m程度を目安に、左右に蛇行しながら歩きます。カーブの時に足の裏がどのように地面をとらえているか、感じてみましょう。
②横歩き
進行方向に顔を向けず、両足を前で交差させたり、後ろで交差させたりして真横に移動します。交差させずに先に出した足と同じ線上を通ってもOK。どのような足の動きでも、 蛇行せずに進むよう頑張ってみましょう。
③歩きながら腕を回す
前に進みながら、左右の腕を体側に沿って回します。両腕を同じ方向に同時に回します。前回し、後ろ回し。左右交互に前回し、 後ろ回し。後ろ歩きしながらもやってみましょう。

ただ、後ろ歩きは進行方向が見えませんから、安全を確認してから、ほんの数m程度で構いません。横歩きでもやってみましょう。
クールダウンも大切
これらの運動の後は、その場足踏みを深呼吸をしながら行い、息を整えクールダウンしましょう。
